arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

セルビア、コソボ、バルカン…

コソボの独立宣言が出ました。

思い出すのはとある仕事でセルビアをはじめ、旧ユーゴなど中・東欧諸国のデータ記事をまとめていた時のこと。
いよいよ終了目前というまさにその時に、セルビア・モンテネグロが“離婚”して、一部記事を作り直すことになりました。
依然、流動止まぬかの地域の状況を体感した瞬間でもありました。

そして今回のコソボ独立。
先のモンテネグロとの協議離婚とは違い、今回はかなり複雑そうです。
大事に発展しなければいいのですが……。

コソボセルビア人にとって精神的にも歴史的にも大事な場所なのだとか。
その理由には、コソボが中世セルビア王国の、またセルビア正教の中心地だったということが挙げられるとかと思います。

キリスト教、正教、古くはローマ、ビザンツ、そしてオスマントルコなるイスラムの異なる文化が入り組んでいるかの地域。
コソボも14世紀の「コソボの戦い」でオスマン帝国の領土となったとか。
19世紀に再び「セルビア」となるまでの約500年以上に及ぶイスラム支配の中で、アルバニア人イスラム系住人が増えていくのは無理なことではないでしょう。
セルビアからしてみれば「奪還」でも、長い年月の中でイスラム教徒が9割というコソボからしてみれば、今度はセルビア自体が「支配者」「弾圧者」になってしまうということでしょうか。

こうした多様な文化が長い年月、歴史の積み重ねとともに、何もかもがとてつもなく複雑に入り組んでしまっているバルカン。
これでもか!というくらいにこんがらかってしまった糸をほどくのは簡単ではないでしょう。

先のユーゴ解体で国自体は新しくても、この地域が培ってきた歴史はそれこそギリシア・ローマ時代など紀元前にさかのぼるほどです。
それぞれの国あるいは地域に、民族に、誇りがあります。
それはきっと島国日本人には想像もつかないほどに、デリケートで、また重大で、深刻なものなのだと思うのです。

ですから、こんなこと書きながら言うのもなんですが、バルカンについてはおいそれと簡単に、知らずに語っていいものじゃないとも、実は思っていますが…。
いろいろ本は読んではいますが、やはり理解するにはまだまだ全然、至っていません。
私がアタマわるいのか…(@_@;)

ただひとつ願うのは。
セルビアにしてもコソボにしても、旅行者がフツーに、自由に、思い立ったら明日にでも気軽に行けるような国になればなぁ…ということ。
フランスやドイツやイタリアみたいに。
やはり正教の教会やビザンツの遺跡には惹かれます。