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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

フィジー(1):さらば、エアパシ

フィジーに来ています。
が、フィジーフラッグキャリア、エアパシことエア・パシフィックが来年3月で日本から撤退します。
このニュースを聞いたのが取材出発の4日前。
エアパシ&観光局主催による取材のブリーフィングでフラッグキャリアの撤退のニュースを聞かされるなんて、この仕事に携わって10年以上経ちますが、本当に初めてのことです。
関係者の表情も痛々しく、いかにこの撤退の決定が突然だったかがわかります。

大体成田の滑走路に依然踏んばる地主がいるもんだから、結局滑走路が増やせず、空きもなく、成田に入りたくとも中国や韓国に路線を引かざるを得ない航空会社が多いなかで、敢えて成田を捨て、中国に機材を持って行くというのもどうなんでしょうね。
(ちなみに海外の航空会社が入りたい日本の空港は、とにかく成田もとい東京。大阪や名古屋に行くくらいならソウルや上海、北京の方がいいというのはよく聞くところ。いろいろ事情はあるとは思いますが、こうなってくると滑走路が増やせないばかりに、日本の旅行&経済成長が妨げられているという現実です)

話は逸れましたが、とにかく成田には今なかなか飛行機を飛ばすことができません。
はっきり言いますが、一度スロットを捨てたら、もうほぼ成田に戻ってこられないですよ??
いいの??本気??と聞きたくなるようなエアパシの、突然の決定です。

いや、確かに中国は巨大市場とはいえ、高級ブランドショッピングでお金を落とすことのみを旅のステイタスとする成金中国市場がこのラグジュアリー・ビーチで「何もしない贅沢」を味わえるのでしょうか。
仮に中国人団体が大挙してラグジュアリー・リゾートホテルに押し寄せれば、これまでの欧米系の上顧客は間違いなく離れるでしょう。
しかも彼らは中国系の免税店と中華料理屋といった華僑系列にしかお金を落としませんから、仮に数だけはたくさん来たって、実質上フィジー現地に落ちるお金はそう多くはないのは、世界各国の例から見ても明白です。
何よりフィジーにとっての日本市場は、現在約2万6000人程度と規模は大きくはないものの、その25%は海外ウエディング&ハネムーン、つまりカップル+参列者という高イールドの顧客が望めるマーケットです。
しかも華僑ビジネスとは違い、ちゃんとフィジーにお金が落ちるわけです。
さらに昨今の若年層の旅行離れが進む中で、フィジー旅行の主要層は、まさに20~30代の若年層カップル。
愛のラブラブウエディング&ハネムーンは鮭が川に戻るが如く、思い出の地に戻ってくる。
つまり将来の顧客も確保していた…のに。
でもフィジー側からすれば、がんばったけど日本のマーケットは伸びなかった、ととらえられている様子。
やはり質より数の方がわかりやすいのでしょうかね。

観光局さん&エアパシ日本支社、旅行関係者の方々の嘆きは本当に想像に難くない。
一説によれば、どうもフィジーには現在バイオエタノールの原料たるサトウキビを求めて中国資本家(笑)が札びらきって闊歩しているそうな。
タヒチやハワイ、ニューカレドニアと違い、白人系の息が強くないフィジーだからこそ、中国人が大挙してサトウキビを購入しているのだとか。
いくらサトウキビがほっといても生えてくるお土地柄とはいえ、なんせ中国人は金と血縁がすべての国。
一部とはいえ日本から車止めや半鐘すら盗んでいく国民性です。
ペンペン草も生えないようなことにならなければいいのですが。

それでもフィジーは今日も気温38度。
常夏の楽園は暑く、青く、海は美しく、飛行機からも白砂のビーチやラグーンがはっきりと見えるほどです。



島では頭にヤシの木が生えていそうな人たちがゆる~くのんきに「ブラ~っ」と満面の笑みでお出迎えしてくれます。
帰国後の社会復帰が難しいほどにゆる~い楽園です。
「何もしない贅沢」が心底満喫できます。
せめて楽園の崩壊にはなりませんように。