arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

オーストリア・ザルツブルク(2):伝統銘菓「おっぱいチョコ」


いや、いきなりですが、まあ、そのものズヴァリ(↑)(^_^;)
英名の正式名称は「Venus' Nipple(ビーナスの乳首)」です。

お店のご主人・リゴーさん(↓)もうれしそうに日本語で「チクビィ~~ チョコッ!」と言って持ってきてくれました。


キュートなご主人です。

これがザルツブルクで300年の歴史を誇る伝統銘菓で、『アマデウス』の映画でも、モーツァルトの女房が差し出したこのお菓子を、サリエリが嬉しそうに食べるというシーンがあるそうで。

モーツァルトがはたしてこれを食べたか、という記述は正式には残っていないそうですが「食べたのではないか」というのがご主人の弁。
というのも、この菓子屋、モーツァルトザルツブルクに住んでいた時の家主さんが経営する店だったのだそうです。
モーツァルトと家主さんは仲が良かったといいますし、当時店は菓子屋だけでなく食事もお酒も出していたから、そうなればモーツァルトも訪れた、と考えるのは自然だろう、と。
なるほど、モーツァルトも訪れて乳首…じゃなくてチョコをつまんでいったとしても不自然じゃないかもしれませんわな(^_^;)

現在店は「Scio's Specereyen」と名を変えて、Sigmund Haffnergasse通り16番地にありますが、本来は今観光地となっている「モーツァルトの住居」の下階にあったそうです。
100年ほど前にリゴーさんの曾お爺さんとモーツァルトの家主さんの子孫である娘さんが結婚し、その際に店の伝統はそのままで、ということでリゴーさんの曾お爺さんが店を譲り受け、現在の地に場所を移したのだとか。


店内にはモーツァルトの家主さんの子孫がサインしたカカオ豆の入荷証書やモーツァルト時代の大理石のテーブルも残っています。

ところで、なぜこのようなダイレクトな(笑)デザインのチョコが作られたのか。
ご主人によると、モーツァルトが活躍したバロック時代は非常に性に対してもオープンな部分があり、ご婦人方は胸丸出し、もしくはすれすれの服装だったとか(ホントカイナ)。
そうした風俗…というかあっけらかんとした時代の中でこのチョコは誕生したというのです。
…あまり説明になっていない気もしますが。

しかし一方で「大司教の町」、つまりはカトリック風土&風紀が強いザルツブルクで、こんな大胆なチョコがよく販売できたものだと思います。
「抑圧が強いほど、人々は反動する」とは、ウィーンのゼセッション(分離派)が誕生した時に聞いた言葉ですが、当時の人たちもひょっとしたら、こんなお菓子でうっぷん晴らしをしていたのかもしれませんね。

ちなみに味は、美味いです。
年配の日本人女性ガイドさんも「恥ずかしいのよ、このチョコ。でもおいしいから困るのよ!」と嘆いて(?)おりました。

ぜひ訪れたら味わってくださいませ、なんせ300年の伝統銘菓ですから。
小さいのはチョコで大きいのはチョコがかかったスポンジケーキ
このイチジク、葉っぱは聖書でアダムとイブがパンツ代りに“隠した”葉っぱで、絵画では“隠す”ときには大抵イチジクの葉っぱが使われています。
まあ、そういういわく付の葉っぱの実を中に仕込むところにまたエスプリが効いてます。
なんかイケナイものを食べているような…??