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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

ウィーン:とてつもなく居心地のよい街

「ウィーンってなんか敷居が高い感じがする」
ここのとこ、そういう言葉をよく聞きます。

えっ!?そうなの!?
そんなお高い感じがするんですか?

「伝統とかにウルさそうだし、華麗すぎる雰囲気があって…」

いやいやとんでもない!
これはちょっとウィーンの弁明をしなければ。

いろいろあちこち渡り歩いている私ですが、ウィーンは本当に居心地がいいと感じる都市のひとつです。

語学にしても、文学にしても、歴史にしても何にしても、“世界”への扉のほとんど全てがフランスだった私にとって、ウィーンをほめ上げることは、ブルボンVSハプスブルクじゃありませんが、ちょっと裏切りっぽい後ろめたさも感じますが(^_^;)

それでも、ウィーンは気楽で、とても居心地がいいのです。
何度でも行きたいと思います。

何故でしょう。
ドイツ系の、ゲルマン民族にあって、ドイツほどの硬さ生真面目さはなく、どちらかといえばヨハン・シュトラウスのワルツやポルカに代表される陽気さがベースです。
時には世紀末の、発酵して糸を引きそうなゼセッション・アートのように伝統大好きな一方で破壊的な柔軟さも持ち合わせています。
一説によると、かつてのハプスブルク家の領土はスペインやフランドル、イタリア、バルカン地域と広域で、それゆえに様々な地域や国の文化や人が流入し、洗練されていったということ。
特にイタリアやバルカン地域の文化、ジプシー(ロマニー??)音楽のエッセンスは陽気さ、明るさが加わったオーストリアゲルマン人を生み出したとか。

ウィーンの人たちは基本的にオプティミストです。
陽気で人懐っこい。
オペレッタ「ウィーン気質」にあるような「こじれた糸も茶目っ気とお色気で明るく笑い飛ばしてしまえ!」というテーマはかなり「気質」の本質をついているのではないでしょうか。
しかも仕事はちゃっちゃと片付けましょう、というところは妙にゲルマン的。
そして空いた時間は思いっきり遊びましょう、楽しみましょう、と。
これは一緒に仕事をする時は非常にありがたい。
ドイツやスイスはともかく、フランスやイタリア、アジアではまずこうはいきません。

町も確かにバロックでゴテゴテきらびやかですが、それは過去の遺産。
彼らにとってはバロックのゴテゴテの町並みはごく当たり前のもので、特別でも何でもない。
オーストリアは日本と違い地震などはないので、昔の建物をリフォームして「そのまま使っているだけ」なのだとか。

確かにハプスブルクの伝統はあれど、伝統をベースに現在を積み上げていくのがウィーンの、オーストリアの、ヨーロッパの基本的なやり方です。
つまり、そうした華麗な過去とジーンズの現代が普通にミックスしているのですね。

もちろん舞踏会やオペレッタもあります。
でもその時は、普段ジーンズでもきちっとおしゃれをして出かけていくのが、メリハリ。
日本語でいう「ハレとケ」ですね。
このメリハリ、ハレとケを楽しむのもウィンナ・ライフです。

…ってこうして見ると、日本とそう変わらないですよね。
ちょっといい所にご飯食べに行く時は、ちょっといい服で出かけるという、そんな感じです。

またゲルマン系にありながら、ウィーンは飯が美味い。
広大な領土のいいトコ取りの国ゆえに、食事も洗練されています。
しかも誤解されがちですが、ウィーンはビールではなく、基本ワインの町。
ワインの町、ワインの国は料理も美味いのです。
(ビールの国の料理は基本酒のつまみですから、めちゃめちゃ味が濃い)

東京とさして変わらない部分と、歴史豊かな遺産に垂涎ものの美術館、コンパクトな町に、バレエやクラッシック、オペレッタが“特別”でも“お高く”でもなく、自然に、普通に息づいている…。
そして人は陽気で、普段は堅苦しいことなどありません。
久々に東京に来たウィーン在住の方が「東京がとてつもなく上品で面食らったわ~」というほどです。

とはいえ、どの町が居心地がいいかは人の趣味それぞれなので、一概に絶対!とは言えないのですが、それでも一般的に感じられているほどお高くとまっている都市ではないのは確かです。
が。
アート好き、クラッシック音楽好きには堪えられないほどに素晴らしく居心地がいいことだけは、請け負います。
だからどうぞ、気軽にお出かけください(*^_^*)