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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

パリ(3):オーヴェル・シュル・オワーズは週末に

パリではなく、近郊の町ですがオーベル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)へ行ってきました。

週末だったので運良くパリ北駅からTransilienの直通電車が出ており、約30分程度で到着。
あの大都市パリからたった30分であっという間に田舎です。

ここは印象派が好んで描いた風景が残る町の一つですが、特にあのゴッホ終焉の地として有名です。

小さい町だと思ってタカをくくっていったら大変。
町中の有名絵画が描かれた場所には画家の絵のパネルが掲げてあり、観光案内所にはそれらを巡る日本語の地図やパンフレットが置かれています。


ゴッホの描いた市庁舎。


そのそばに掲げてあるパネル。

またゴッホが自殺した家や今は印象派についての展示を行うオーヴェル城、ゴッホが描いた教会やゴッホと弟・テオが眠る墓地などをいろいろ巡ると結構時間がかかります。
意外と見所が多く、またたくさん歩くので、殊に絵画好きならほぼ丸一日見て行った方がいいでしょう。

オーヴェル城はかつて知事の館だった建物で幾何学紋様の庭園が見事です。



印象派たちが好んで描いた町のお城なだけあってか、庭の小道などあちこちに風情があってなかなかいいムード。
長い道のりを歩いてきた後だけに、なんだかほっとするような気さえします。

で。
このオーヴェル城のなかで見られるのはハイテク・オーディオを駆使した印象派に関する展示です。
テーマは「印象派とその時代」と言いましょうか。
印象派が誕生した時代背景をオーディオガイドや印象派の絵画の映像、ジオラマや模型などを駆使して紹介するものなのですが、これが意外と面白い!
小劇場的カフェなどなんかその場にいるようで、19世紀末のパリを体感しているような気になります。
いやぁ、ロートレック! ムーランルージュ! 禁断のアプサン
映像展示に関してはアメリカの会社が絡んでいるようで、こうした演出もなるほど、とうなずけるものではありますが、19世紀末の雰囲気を体感しようと思ってもそうできるものではないでしょう。

何より、目からウロコの「印象派の時代背景」。
印象派が登場したのはゴミ溜同然のパリがナポレオン3世オスマン知事による改革で華麗に、光あふれる都として生まれ変わった時代。
鉄骨にガラス屋根という、辛気臭い腐臭の都から光溢れる“花の都・パリ”が大変身した時代でした。
でも光が満ちるほどに影もまた強くなるのは世の道理か…。
印象派が光を享受し、光を描き出そうと太陽のもとで絵筆を振っていた一方で、パリ・コミューンが登場し、市民が血の海に倒れていった…。
これがまさに「印象派の時代」です。

印象派パリ・コミューンも、腐臭のパリもオスマンの改革も、それぞれ知ってはいましたが、知識は断片ではダメ。
ちゃんと繋いでこそ意味があるものだとつくづく思い知らされました(-_-;)

ちなみにオーヴェル・シュル・オワーズへ行く場合は事前にSNCF(フランス国鉄)のサイトで時刻表を確認しておくことをお勧めします。
イル・ド・フランス方面を走るTransilienという、緑の葉っぱにTマークの列車です。

というのも北駅→ポントワーズ(Pontoise)行きサントゥーエン・ルーモン(Saint-Ouen-l'Aumone)下車&乗り換えでオーヴェル・シュル・オワーズ着というルートのほか、北駅からペルサン・ボーモン(Persan Beaumont)経由で行くルート、もしくは北駅からクレール(Creil)で乗り換えていくルートなど実にいろいろあるうえ、特に平日は乗り継ぎで1時間以上待つということもありますから。
(実は一度これで大失敗して行き損ねました。今回の週末小旅行はリベンジなのです(^_^;))
週末の直行便が朝9時台に1本、夕方6時台に復路1本がありますが(2009年4月現在)、これがとても便利で早いので、できれば土日に訪問するのがいいかと思います。

あとオーヴェル・シュル・オワーズ駅は週末以外は無人駅になり、切符は未だフラン表示の自動販売機でしか買えませんので、必ず往復で購入することもお忘れなく。
このオーヴェル・シュル・オワーズ駅の自動販売機はカードしか使えません。
しかも機械が上手く動かない、なんてことフランスではままありますから。
以前ドイツでクレジットカードが機械に飲み込まれて出てこなくなり、泡食った経験があります。
ここは無人駅ですから、カード食われたら出してもらえないですしね。
購入は北駅の緑の葉っぱにTマークのブースです。

また付け加えれば、19世紀末パリの大変貌についてはフランス文学者の鹿島茂氏『パリ五段活用』(中公文庫)に面白詳しく描かれています。
ぜひ出かける前にご一読を。