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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

ランス(1):“微笑みの天使”に地団駄

ベルギーの更新をロクにしないうちにフランスに入ってしまいました(^_^;)
今滞在しているのはランスです。

ど早朝からブリュージュを出発し、ベルギーのゲント経由で北仏の都市リールに入りTGV東線でランスへ。
ゲント発リール・フランダース行の列車は国境の町コルトリック(Kortrijk)でベルギー国内行きとフランスのリール・フランダース行きとに車両が切り離されます。
コルトリックに停車している間、フランス行きの客が他の車両から移動してくるのですが、突如フランドル語&英語の世界からあっという間にフランス語の世界に早変わり。
フランスに行くんだなぁ、うん(*^_^*)

ということで到着したランスはシャンパーニュ地方の歴史都市で、特産品はシャンパンとレンズ豆だそうです。

あとこの町で有名なのは何と言ってもノートルダム大聖堂の「微笑みの天使」の像。

ドレスデンのラファエロ『システィーナのマドンナ』の足元にいる天使並みに有名な天使像で、ぜひ一度見たいと思っていたものです。
今回願いかなって…と思っていたら!

え?



よりによって“微笑みの天使”が修復中ですよ、がーん(@_@)
しかも!

今行われている修復とは、このランスのノートルダムすべての彫像をレプリカに変え、本物は隣にあるトー宮殿に収めるという作業とな!
つまりもう、“微笑みの天使”のオリジナルが飾られたランスの大聖堂の姿は見られない、ということですΣ(゚д゚lll)ガーン
く…悔しい…間に合わなかった…。

思えばフランスは何度も訪れてはいますが、南だ北だ東だと地方を放浪していると、ついパリから2時間程度の近郊の町は後回しになりがちです。
ランスも「パリから近いし今でなくてもいいや」なんて放置しておいたがために、こんな結果になろうとは…_| ̄|〇

でもこの修復にはちゃんと理由があるわけです。
13世紀に建てられたこの大聖堂は、フランク王国のクローヴィスがキリスト教の洗礼を受けた地、つまりは欧州キリスト教発祥の地とも言える場所です。
フランス王家歴代が聖別式を行う由緒ある教会でもあったため、フランス革命政府の廃仏毀釈の折にはまっ先に目の敵にされ打ち壊され、その後のナポレオンによっても破壊されてしまいます。
ファサードの天使の首なんか軒並みもげていてまあ痛々しいこと…。
それでも建物は残っていたのですが、決定的なのは1914年の第一次世界大戦の爆撃。
屋根は抜け落ち、堂内の彫像は残骸と化し、完膚なきまでに破壊されてしまったのです。
まるでドレスデンの聖母教会です。
それを20年かけて修復し、現在の姿に戻した執念には頭が下がります。

そんな歴史がありますから、パリのノートルダムより50年新しい聖堂ですが、痛み具合もひとしお。
また昨今の異常気象や酸性雨も加わって破損進行度は激しく、もう地道に洗浄や修復を繰り返しても追いつかないのだとか。

というわけで、この「レプリカすげ替え」は文化財保護のためには致し方のない苦肉の策なわけです。
そう、オリジナルには間に合わなかったけど、あの天使の像が酸性雨でボロボロになって二度と拝めない…ということを考えれば博物館内で見られるだけいいのかも。

まあ、今ならまだ“微笑みの天使”の兄弟(笑)は見られます。

同時代に造られたこの天使はガブリエルで、隣にいるのは聖母マリア
受胎告知のシーンなのだとか。
よーく見るとこのガブリエル君、歯を出して笑っているんですが、それはそれでなかなか味わいがあります。

というわけで。
まだ部分的にはオリジナルは残っています。
そうでなくとも内にはシャガールのステンドグラスもありますし、やはり見ごたえのある歴史的教会であることに間違いはありません。
修復は2011年終了予定だとか。
つまり2011年過ぎると完全レプリカとなるわけです。
行くならどうぞお早めに。