arTravel: art × Travel/旅×アート

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

ランス(4):ランス美術館 ~チャンスは逃すな!~

全然ベルギーネタをアップしてませんが諸所の事情によりまだ先で(^_^;)

街歩きをしていて通りがかったランス美術館(Musee des Beaux-Arts)



パリでもフランスの町でも文化財や歴史施設には大抵こういう看板が立っているのでどんなものか見てみると!

おお! なんとクラナッハWikiとか探してみてください)のコレクションがあるという!

クラナッハ
こんなところにもいたのかー!
千載一遇のチャ――ンス!
ということでいそいそと中へ。

入場料はなんと3ユーロと格安。
しかもフジタ礼拝堂含め、この3ユーロのチケットでランス市内の美術館・博物館6か所に入れるという。
なんてお得…というか太っ腹!
日本の観光施設もぜひ見習ってほしいもんです。

で、このクラナッハ

フルネームはルーカス・クラナッハ
16世紀に活躍した生粋のドイツの工房画家で、同名の息子がいるので最も著名なクラナッハは「ルーカス・クラナッハ(父)」ということもあります。
この人はデューラーと同時期の人であの宗教改革のルター先生とは大親友。
ルネッサンス初期に活躍した人なので画風がフランドル宮廷画風とルネサンス風のミックスといわれ、また特に女性のクールなエロさが味わい深く個性的です。
私は彼の特に『ユーディット』が大好きなのですが、工房画家故何枚もあるのがミソ(^_^;)
一番美人さん(個人的に)のユーディットはウィーンの美術史美術館にいます(写真ね)。

また何故に「千載一遇か」というと、このクラナッハは主な活躍の場がザクセン――つまり旧東ドイツザクセン地方だっただけに、16世紀から現在、特に第一次、第二次大戦から共産主義の波乱の時代を経た結果、作品が実にいろんなところに散っており「クラナッハならここ!」という場所を特定しきれないのですね。
例えばルーベンスならアントワープ周辺、マグリットならブラッセル(ブリュッセル)、ミケランジェロならフィレンツェ、というような特定が難しい。
しかもいまひとつマイナーで情報もそう多くない(^_^;)
彼の作品をナマで見ようと思ったらウィーンだのフランクフルトだのミュンヘンだ、ドレスデンだ、ワイマールだ~…と、ドイツ語圏の主要都市中、あるいは歴史的にドイツ語圏支配下や関係が深かった町を巡らないとなかなか出合えない。
さらに特に旧東ドイツの田舎の、ガイドブックにも載らない町村の教会で、突如クラナッハ作の祭壇画が「ど――ん!」と効果音付きで現れる……ということもままあり、なかなか油断ならないオッサンなのですよ。
さすがだぜ、オヤジ(え?)

というわけで。
今回ランスで出会うなんて、これは本当に意外中の意外。
フランス語圏なんてノーチェックだったわさ。
なんでだ?? やはりドイツ国境に近いからか??
いずれにせよ、こういうチャンスは逃せんのだ!
見られるときに見ておかないと。
てかクラナッハファンならチェックせねばなるまいて。

果たして、ランス美術館が所有していたクラナッハはおそらく工房で作成された、大作を作る前の試し描きというか習作というか見本画。
16世紀のザクセン選帝侯と周辺の方々のガン首…じゃなくてお顔の数々ですが、こういうのはなかなか珍しい。
これを見て工房の職人&弟子たちが描き入れ、あるいは練習する。
工房絵画量産の大元ともいえよう。
てか工房の下絵なんてあまり残ってないでしょう。
というわけで、これはこれで満足でした(*^_^*)

ちなみにこのランス美術館の他の目玉はコローのコレクションでしょう。
コローは印象派のなかではルノアールやモネなどに比べると地味…というか玄人好みっぽいかもしれませんが、とにかくここはその作品数がハンパない。
聞けばランスのあるシャンパンメーカーの社長が熱烈なコローのファンで、収集しまくったのだとか。
シャンパン・コレクションか。

他にもフジタの作品が何点か、またルネサンス以降の作品もいろいろありますので、絵画好きなら意外な出会いがあるかもしれません。

またここは12時になるとお昼休みになるので強引に追い出されます(^_^;)
いやぁ、美術館で12時の追い出し喰らったのは久しぶりのことよ。
田舎なんだな、やはり。
というわけで、間違っても午前中の11時半なんて半端な時間には行かないように。
開館10時~11時までに入れなければ、午後に回すのがお勧めです。