arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

旅行関係でニュース2つ:牡蠣と世界遺産

●アルカッションの牡蠣は仙台牡蠣を救うか

以前フランスのアルカッションを訪れたときのブログ(http://kababon.exblog.jp/12338444/)で、アルカッションの稚牡蠣は仙台から取り寄せたものだという話を書きました。
フランスの牡蠣の70%はアルカッション産ですから、つまりフランスで流通しているフランス産牡蠣の7割は、仙台牡蠣の子孫なわけです。

ちょうど訪仏したときがあの震災の2週間後だったので、「仙台の牡蠣の被害いかんによってはフランスから里帰りさせればいいじゃないか」という話をしていたんですが。

実際、フランスが仙台に援助の手を差し伸べているようですよ。
すごいすごい!

レポート1 http://ameblo.jp/311-2011/entry-10934227613.html
レポート2 http://ameblo.jp/311-2011/entry-10935874649.html
レポート3 http://ameblo.jp/311-2011/entry-10937276108.html

その名も「France Okaeshi Project(フランスお返しプロジェクト)」。

つまり、アルカッションの牡蠣が何故か死滅した際、援助してくれた仙台にお返ししようというものだとか。

三陸牡蠣は母貝も養殖資材もすべて流され、何も無い状態だという。
そこにフランスは稚牡蠣を送ってくれようとしてるが、フランスと日本は養殖方法が違うため、フランスが提供しようとしてくれる資材では日本ではムリなのだとか。
それでも日本の要望を聞きながら、それに近い資材を集めようとしてくれているようだ。
なんかもう、本当に人と人って助け合い。

稚牡蠣を海に沈めるリミットは7月15日なのだそうだ。
間に合うのか??

なんかマジで時間作って取材したいネタだわ。


●新たに「世界遺産」2つ

小笠原諸島と平泉が世界遺産に登録されました。
国立西洋美術館を含むル・コルビュジェは見送りになりましたが、ともかく特に平泉はリベンジに加え、被災地支援というか、地元の励みになることがなにより大きい。

実は仏教って世界三大宗教と言われるけれど、インドはもとより、シルクロードを経た大陸の国々では極めて少数派だし、殊に大乗仏教が生活にきちんと根付いて残っているのは日本くらいなんですよね。
さすがシルクロードの東の果て、というべきか。
中国もいないわけじゃないけど、文革を経ているから、純粋に宗教として考えると、どうなのだろうと思うし。
そういう意味では、日本の大乗仏教神道とミックスとはいえども、かなりしっかり、伝統的に残ってると思う。
韓国は儒教と、意外とキリスト教が強いしな。
タイやミャンマースリランカ小乗仏教で、大分ヒンズー教の影響も入っちゃってるし。

だから日本の仏教史跡って、すごく貴重だと思うのですよ。
日本にいるとあまりに普通にあるから、うっかりしちゃいそうだけど。
ゆえに日本の仏教史跡はもっと登録されてもいいのではないかと思います。
まあその稀少性とか特徴を西洋人に分からせるのは、すごく骨が折れると思いますけど。

小笠原は極めて順当というか、ホントにそれだけの価値があると思います。
なんでもっと早くならなかったのかな??と思うくらいです。

で。
実はその数日前に「屋久島の立ち入り制限案が町議会で否決」というニュースを聞いて、がっくりというか、なんだかなぁ…という気持ちになっていたとこでした。
以下ニュースの引用。

世界自然遺産にも登録されている島の自然を守る趣旨に異論は出なかったが、観光業への影響を考慮すべきだとの意見が多かった。

…というのが否決の理由だが、観光業のことを考えるなら、なおさら立ち入り制限はある程度設けるべきなのであります。
すでに南米のガラパゴス諸島は環境破壊の危機にあり、その立て直しを図るために立ち入り制限を設けているわけだが、その二の舞になっちゃいかんだろうが。

屋久島は自然遺産。
壊れたらおいそれと修復などできないのである。
「今」の観光業(でっかいホテルとか造っちまったから、稼動させねばならないのだろうが)に捕われ、子の代、孫の代には残せない…なんてことになったら、それこそ大損失だ。
世界遺産である以上、世界に対する犯罪でもある。
…って言ってて原発のことを思い出してしまいましたが。
やっぱり子の代、孫の代まで残せない「開発」は、賢くない。

そんなわけで、特にこれから小笠原がどのような観光モデルを作っていくのか非常に気になるところです。
東洋のガラパゴスが「環境破壊の危機」なんて、本家ガラパゴスの後追いなどしませんように。
景観破壊に繋がる無粋な箱ホテルが乱立したら大変だ。
この辺については詳しい人達がたくさん周りにいるので聞いてみようと思います。