arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

宝塚歌劇団月組「メリー・ウィドウ」:“ザ・タカラヅカ”的華麗なる夢舞台

非常に今更的ですがUPしておきます(^_^;)
でもこれ以上に、メモ的草稿だけ書いて上げられずにいるもっと今更的ネタもあるのですが(-"-;)


12月8日午前の部で宝塚歌劇団月組メリー・ウィドウ」を観てきました。
そもそもレハールの「メリー・ウィドウ」自体が好きなので、絶対観たいと思っていたのですよね。
それにウキウキ&ノリのいい曲が多いので気分高揚に効果大、ラブコメ&ハッピーエンドの内容等々、宝塚に合わないはずはない、絶対面白くなるはずだ、という期待もあってとても楽しみにしていましたが、その期待・予想を遙かに大きく上回る秀逸な、すばらしい舞台でした。

ヅカ的に踊りも満載で、ピリリと笑わせるセリフや歌のテンポも小気味よくて、「そうよ!ヅカってこれよ!」という世界でしたよ。
「舞台はしばしの夢世界」といいますし、殊にヅカにおいては華麗で華やかでその「夢」がバラ色スミレ色に金ピカの輝きを伴って繰り広げられるわけですが、まさにそうした「ザ・タカラヅカ」的舞台です。
見応え満点でした。
行けてよかった、ほんとに。

月組公演ですが主演は専科の北翔海莉。
昨年卒業した音月桂や、今ご贔屓のひとりの未涼亜希なんかと同期ですから、ベテランです。
主演で観るのは初めてなんですが、まあ彼女がすごい存在感と貫禄!
若い月組のメンバー達をぐいぐい引っ張っていくそのパワーたるや、まさにベテランの面目躍如で、しかも惜しみなくその力を一つの舞台に注ぎ込むエネルギーと後輩に伝えようという気概に圧倒されます。
すごいです。
オトコマエです。
ホレます。
てかホレました(笑)

執事ニエグシュの暁千星、まだ若い子だと思うのですが、まあその子が必死に北翔さんのアドリブについていこうと一生懸命なのがまた微笑ましい。
アドリブシーンで「天国と地獄知ってるか」と北翔さんに振られて対応しようと考えているスキに北翔さんがちゃっちゃと歌い出しちゃうもんだから、対応しなきゃということであわてて口歌に合わせて踊りまくるし、動転してたのか(?)その次のセリフで同じセリフを2回言ってしまい「そうじゃないだろ、そこは『○○○………(←ニエグシュのセリフ)』だろ!油断するな!」とつっこまれるあたりはね、もう笑っちゃいますね。
カンバレー、という感じで。

でも北翔さんも嫌みじゃないし、さわやかにやってのけるところがすごい。
てか、ニエグシュのセリフを言ってのける北翔さんもすごいで(笑)。
ニエグシュの千星は相当鍛えられたんじゃないでしょうか、今回の舞台で。
彼女には敢闘賞をあげたいですね(笑)

ともかくあちこちで笑いが起こるし、後ろのお母さんなんて声上げてゲラゲラ笑いまくりで、実に劇場内が楽しさにあふれている。
大劇場のロケットを彷彿させるカンカンは大盤振る舞いだし、北翔さんも一緒になって踊ってる辺り「何年ぶり?」とか思っちゃいますね。

またツェータ男爵役のマギーさんが非常にチャーミング。
彼女は別の舞台でみたことはあるんですが、こんなにいいオヤジができるのかと感心しました。
素敵な愛すべき残念役の男爵で、お話の屋台骨をしっかりと支えていました。

曲や大筋も基本的に、原典に忠実です。
ストーリーの最後は一部やはりヅカ的に変えてはありましたけど、まあよくまとまってたし、マギーさんの熱演があれば受け入れられる。
カンカンが何度も入ったり、途中ダンスシーンでイマドキ音楽のダンスは入ったりはしたものの、レハールの名曲の数々はしっかり残されていて、それをまたヅカの方々がクオリティ高く、心をこめて熱唱してくれる。
涙出ますね、すばらしすぎて幸せすぎて感動的で。

オペラを堅苦しくなくライトに、大衆レベルでもっと楽しもうじゃないか、というのがオペレッタ発祥のコンセプトだと聞いたことがありますが、まさにオペレッタ発祥時代にこの舞台をみていた人たちは、こんな感覚で楽しんでいたんじゃないでしょうか。

とにかく「これがヅカのシアワセ夢舞台だよ!」という王道をがっつり見せていただいた、素晴らしきメリー・ウィドウ
これ、年末恒例でやってもいいくらいの出来映えだと思います。
ぜひ再演を望みたいですね、いろいろ鬱積してくる年末辺りに(笑)
ともかく、北翔さん&がんばった月組さんたちに大感謝!