arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

「ロマンシング・サガ The Stage ロアーヌが燃える日」/オタクが燃えた日々

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●燃え&萌えは消えない!

舞台「ロマンシング・サガ The Stage ロアーヌが燃える日」、通称サガステ。
公式サイト:http://saga-stage.com/
あの名作ゲーム「ロマンシング・サガ3」の舞台化です。
いやもう、懐かしいのなんの!

大昔にどハマりして何度もプレイしたユーザーとしては気になってしょうがない。
なんせ、大昔は本まで作ったゲームですゆえに、コピー機で、手作業で。
こうして燃え&萌えまくった思いは何十年経っても消えないどころか、永遠に燃え&萌え続けるんだということを、イヤと言うほど思い知りました。

ポスターはコスプレまんまでどうなの、大丈夫なのと思ったけれど、スクエニが絡んでいるということでまあ大丈夫だろうと思い観に行ったらもう胸熱で泣けるわで、結果的に東京公演4回(4月19日昼、20日夜、22日昼・夜)、大阪公演1回(4月30日)という、アホかという観賞回数。
大阪往復の交通費を考えたら8回分にはなりますがな。
結局ロマサガ3にはハマる運命にあるんです。
燃え&萌えは永遠です。

でもそれほどまでに素晴らしかったんです。
その最大の理由の一つはゲームの世界観をしっかり維持していること。
そしてキャラが変にいじくられることなく、これまたゲームの原作にしっかり寄り添っていてくれて、その上でゲームでは妄想で補完していた部分を「そうだよね!うん、そうだよ!」というクオリティでしっかりと描いていてくれたことです。

というか、これに尽きるといっても過言ではない。
もしこれが変な独自解釈や斜め上からいじくって「どうだ、すごいだろう」とドヤ顔で出されていたら、1度見た切りでやめていたでしょう。
そしてボロクソに文句を言っていたに違いありません。

ですからスタッフはじめ関係者すべてにありがとう、ありがとう、またロマサガ3に、トムやサラに会わせてくれてありがとう!!と何度言っても言い切れない思いです(ただしサラがチビデブで儚い感じがなかったので、脳内フィルターを通していましたが)。

 

●6人限定解除!キャラクター勢揃いのゴージャスさ

そもそもロマサガ3のゲームの最大の特徴はフリーシナリオシステムにあります。
8人の主人公(写真)のなかから1人を選び、好き勝手に物語をすすめていく、というものです。
オープニングイベントとラスボス戦は決まっていますが、その間のイベントはやりたきゃやる、面倒ならやらなくていいわけで、誰を仲間にするかしないかもユーザー次第。
どういうルートを選んだってちゃんとラスボスまで行けるし、6人で行ってもいいし(てか6人でしか行けないのが残念なところ)、一人旅だって不可能ではないのです。
キャラによっては独特のドラマが生まれ、その隙間に脳内補完箇所が山ほどあるので、妄想の余地もてんこ盛り。
つまり一度ツボにはまるともう足ぬけできないような罠が、たくさん仕組まれているわけです。
当時の宣伝コピー「君だけの物語を作れ」がそのまま、実現するわけです。

して今回の芝居の主人公はオリジナルイベントのあるハリード。
滅ぼされた砂漠の亡国の「トルネード」の異名を持つ剣士です。
もちろんその他の主人公たちも登場し、おなじみNPCのキャラたち――シャール、少年、詩人、ロビン親子、ブラックも登場します。
6人でしかパーティーを組めないゲームでは実現不可能な、人数無制限にキャラが勢揃いするのは舞台ならではのゴージャス感がありますし、まさにかつての妄想世界の一端です。

そして主人公ハリードに次いで重要なポジションをしめるのがシャールです。
メッサーナ王国の術剣士ですが動乱に巻き込まれ、腕の腱を切られ、主君の娘ミューズ様共々身分財産を剥奪されスラム街に追放されているという設定まではゲーム内にありましが、そういう状態に至るドラマ、そしてゲーム内でどう立ち直り、主人公とともに冒険し、助けとなってくれるかは個々のプレイヤーの妄想による部分でした。
ここのところをハリード絡みとはいえ、しっかり押さえてくれている。
シャールに銀の手を与えて連れ回したプレイヤーにとっては、これは実にうれしいことです。
ありがたいことです。

 

●トムサラ派の悶絶

なによりありがたくて泣けて萌えまくったのは、これは完全に一部ユーザーの萌えどころでしかないんですけど、トム&サラのカップリング妄想までしっかり押さえてくれたことです。
ゲームにはそういう妄想をかき立てる微妙なシーンは数々あったわけですが、はっきりは語られていません。

しかしそういう妄想でプレイし、結果トム主人公率が一番高くなっていたプレイヤーとしては、トムサラはガチですし、それ以外になにがあるのと言うほどですし、ロマサガ3といったらトムサラだし、それ以外になにがあるの……(以下無限ループ)。

この舞台ではサラは「宿命の子」という認識が最初からあかされ、それを中心にシノン自警団もといシノン組は回ります(サラを守るためトムが提唱したのなら、なおさら萌えます)。
ちょっとあなた、大丈夫ですか、というほど躍起にサラを守ろうとするエレンは相変わらずですが、その理性の部分をフォローするかのように冷静に、しかしトムらしい気配りでサラを気にし、「そんなもの背負うな」とか「(サラの)本当の笑顔を取り戻したい」なんて言ってしまうトーマス、もっと言って、もっと言ってと、こちらとしてはわっしょいわっしょいで拍手を送ってしまうわけです。

またゲームとは違い、自らを「宿命の子」と認識しているサラだからこそ、今はその運命に手いっぱいで、自分の恋とか愛とかは考えられない感じがすごく出ていて、それがまたツボるのですわ。
東京のラス前、トムの家で「キャハハ」といたずらっぽくトムのマントの後ろに隠れてそーっとユリアンとエレンを伺う様子なんてもう、椅子から転げ落ちそうなくらい悶絶しました。
しかも大阪のトークで言っていたように、制作側としては「今はまだだが、将来の延長上にそういう未来がある設定」と考えていてくれたことに、また泣ける。
ありがとう、ありがとう、と百万回どころか無限大に繰り返したい気分です。

 

●陣形も再現!続編希望


お芝居はハリード中心で、彼の将来を誓った姫と離ればなれに亡国の苦しみとシャールとの友情、そこにマクシムスことジャッカルと姑息に立ち回るルードヴィッヒの思惑が絡む展開に、異界の入り口アビスゲートを支配する四魔貴族(今回はビューネイだけ)とそのゲートを封じられる宿命の子、サラと少年の運命が絡まるという展開(かなりざっくり)。

カタリナのミカエルへの一途な思いや、ミューズ様とシャールの大人の恋、ニヤリとせずにはいられないユリアン、モニカ、エレンの三角関係なんかも絶妙に絡み、よくそこまで詰め込んだな感。
フォルネウスとの戦いや、グゥエインとの空中戦もゲームの映像を使いながら再現されていて、またイトケンこと伊藤賢治さんの神曲も目白押し。
ロビン親子ははじけているし、あのロビンのテーマもしっかりやってくれる。
燃えるなってほうが無理。
閃きヘルメットで笑わせたかと思えば、シャールの閃きはちゃんとスクリーン利用でかっこよくシビアに見せるメリハリ。
シャッタースタッフを使った後、ちゃんと杖が壊れ、その後は弓を使う細かさや、朱鳥術の奥義を見せるためミカエルとトムに太陽術と月術を使っているのを見せる芸の細かさ。
クリムゾンフレアはちゃんと陣形を取って唱えるという嬉しさ。
ほんとにね、たまらんですよファンには。

ただストーリーが4つ目のビューネイのゲートを閉じた後、サラがアビスに飲み込まれて終わるんですね。
そのときのトムのセリフが、大昔に作った薄い本に書いたものほぼそのままでもう爆涙モードだったのはさておき、やっぱりこれは続きを作ってもらわなくちゃならんわけです、何が何でも。

ぜひサラとトムには「将来の延長上にある未来」を実現してほしいし、そのためにもサラを助けに行ってほしいわけですし、四魔貴族も影の化け物ではなく真の姿ででてきてほしいわけです、特にフォルネウスなんか。
つかアビスゲートを閉じてラスボスを倒さないとゲームは終わりませんし。

ともかくぜひ続きを。
このクオリティでなんとしてでもよろしくお願いします。

ロマンシング サ・ガ 3 ウィンディ・テイル

ロマンシング サ・ガ 3 ウィンディ・テイル

Romancing SaGa3 Original Soundtrack-REMASTER-

Romancing SaGa3 Original Soundtrack-REMASTER-