ザルツブルク2016(3):大司教の町、モーツァルトの町のクリスマスマーケット
●約600年の歴史・大司教領の町のマーケット
オーストリア北部の町、ザルツブルク。 モーツァルトの出身地として非常に有名であるほか、19世紀初頭まで独立した大司教領として約600年の歴史を持つことから、オーストリアの主要都市――例えばハプスブルク家本家のウィーンやチロルのインスブルックなどと比べると、独特の雰囲気を持つ町です。 町のどこからでも見えるホーエンザルツブルク城、町の中心地であるレジデンツ広場やドーム広場に建つレジデンツや大噴水、壮麗なバロック教会、映画『サウンドオブミュージック』の舞台として知られるミラベル宮殿や郊外のヘルブルン宮殿といった観光的見どころの大半は歴代大司教ゆかりの建物。 大司教領時代の文化がこの町の軸となっているのでしょう。 15万人ほどの町ながら中心地にはバロック様式の建物が多く、駅前は程よく近代化されて整備されているため、都会的な印象もあります。
クリスマスマーケットは中心のドーム広場には90以上の屋台が並び、また店のバラエティも豊か。 クリスマスのオーナメントやキャンドル、ランプといった品々はもちろんのこと、お茶やチョコレート、お菓子に陶器等々、ちょっとしたプレゼントや冬支度のための生活雑貨がすべて揃いそうというい、そんな品揃えという感じもします。 現地の人たちの生活を垣間見ているような気分で、実に楽しいですね。
●伝統のスパイス・リース
このザルツブルクのマーケット、独特だなぁと思うのは市場にアニスやシナモン、グローブなどのスパイスの香りが漂っていること。
というのもザルツブルクではクリスマス・リースにスパイスを使うのが伝統なのだとか。 大きなリースから小さなものばかりでなく、ポプリやオーナメントもスパイスの香りを漂わせていて、なんだかとても幸せな気分になります。 現実的なことをいえば、リースはいわば「お部屋の臭い消し」。 つまり消臭剤の役割もあったのだそうです。 フレッシュな香りとともにクリスマス(ヨーロッパでいうところの新年)を迎えたいということなのでしょうね。
クリスマスマーケット名物のグリューワインもスパイスをワインと一緒に煮た飲み物。 湯気とともに漂う独特の香りは、不思議なことに一気に身体が温まります。 屋台で買うグリューワインはカップのデポジットを含め約5ユーロ。 カップを返せばデポジットの2ユーロを返してくれるのですが、カップの柄は毎年違いますので、そのまま持ち帰れば記念にもなります。 飲んだカップは屋台の人に言えば新しいものと交換してくれるので、飲み終わった後のべたべたのカップをバッグに入れるということもありませんのでご安心を。
●モーツァルトのチョコレート・あれこれ
この町で忘れてはならないのが、この町で生まれた有名人モーツァルト。 銅像の建つモーツァルト広場にはスケートリンクができていて、子供から若者までがライトの下でひとときの冬の夜を楽しんでいます。
この町にはモーツァルトの生家(黄色い家)とモーツァルトがウィーンに行く前に7年間住んだ家(ピンクの家)の2軒があるのですが、生家の方がモーツァルト記念館になっています。 その記念館の中庭にも小さなクリスマスマーケットが出ており、これがとてもチャーミングです。 なんだか楽しいことが好きなモーツァルトっぽい感じもする(か??)
ちなみにザルツブルク名物で知られるモーツァルトチョコですが、赤い包装でお馴染みのミラベル社は、実は後発のもの。 著作権等があいまいだった時代に後発メーカーが商売上手だったこともあり、免税店でも売られるような銘菓になりましたが、本家はこちらの「フィルスト(Furst)」です。 近年、長きに渡る著作権裁判でようやく「元祖」としての権利を復活させたのだとか。 大きな違いは本家フィルストは依然手作りを貫いている、ということです。 ですから量産はできないんですね。
また忘れてはならない?ザルツブルクの伝統銘菓が「おっぱいチョコ」。 初出→http://kababon.exblog.jp/7893963/ これ個人的にはアニメ「クラシカロイド」でモーツァルトが作った「おっぱいケーキ」の元になっているのではないかと思っていますが、この店は親父さんが引退したため、本来の店の3軒隣のバー「mediTERRANEO」が販売権を獲得して伝統を引き継いでいます。 ただ数が少なく、人気も高いため、入荷早々に売り切れてしまうのだとか。 聞いたところでは入荷時間は夕方が多いそうなので、気になる方は夕方にお店に出向いてみてはいかがでしょう。
ザルツブルク2016(1)Photoギャラリー ザルツブルク2016(2)Photoギャラリー ザルツブルク情報:ザルツブルク観光局(日本語)
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