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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

新国立劇場バレエ「ダイナミック・ダンス!」(1):人は限界を超えられる

とにかく素晴らしい感動をいただきました、ダイナミック・ダンス。

1月26日ソワレ(セカンドキャスト)、自分的には初日24日(ファーストキャスト)に続く2回目の観賞となる「イン・ジ・アッパー・ルーム」でしたがもう、圧巻!
どんだけパワフルなの!
とてつもなくベタな言い方ですが、真正面から超どストレートに、すさまじいパワーやエネルギー、勇気をもらったようでした。

限界を超えるためのパワー、限界を超えたあとの達成感とその先に感じる何か、というのでしょうか。
すさまじくハードなこの演目を踊りきったダンサーさんたちには、なんかもう別の世界が感じられていたのでは??
それほどに壮絶で、本当にとんでもなくダイナミックなプログラムでした。
というか、繊細な表現力の伴う古典から、こんなパワフルなバレエまで幅広く踊ることのできる新国のみなさんは本当にすごい!

またこういう演目を選び、プログラムに組み上げたビントレー監督がまた本当に素晴らしいです。
「上演してくれて、こんなものを観る機会を作ってくれて本当にありがとう!!」と心から、声を大にして言いたいです。

とにかく、今回のトリプルビルの最後に踊られた「イン・ジ・アッパー・ルーム」はスニーカーを履いて踊るとか、振り付けもバレエやダンスに捕らわれない、ヨガとかエアロビといったいろいろなところから要素を取り込んだもの。
スモークのなかからスニーカー組、ポワント&ダンスシューズ組が次々現れては踊り、消え、また次々とダンサーが現れ…を繰り返す。
その入れ替わりの目まぐるしさったら!
一体どれだけスピーディーなんだ!
とにかくひっきりなしに踊り続けるうえ、振り付けも当然鬼なわけで、これってどれだけ過酷!
ほぼ40分踊りっぱなしなんて、本当に極限への挑戦です。
しかも人によってはその前に一演目、あるいはマチネあわせて2あるいは3演目踊る人もいるのだから、どれだけ疲れ知らず…というかお疲れなんでしょうが、でもそれを感じさせないパワフルさ。
「アスリート・バレエ」なんてよく言った。
本当に踊っているうちにナチュラルハイになり、恍惚を経て、異世界(イン・ジ・アッパー・ルーム)に突き抜けていきそうです。

てか、ほんとに何か見えたんじゃないのか?
初日は特に本島さんや丸尾さんはじめ皆さんの「踊りきった!」、という笑顔が印象的でしたが。
2度目に観たときは、セカンドキャストのみなさまも2度目、そして最後だけあってか、気合いが違っていたように見えました。
長田さん、五月女さん、厚地さんにマイレン等々、もう皆さんの名前を挙げたいところですが、ほんとうに今まで見たことない、新境地開拓のような踊りっぷり!
クライマックスに向かうにつれて、疲れるどころか、いや疲れているんでしょうけど、それを感じさせない動きはなに!?
なぜそこで笑顔がでる、なぜまだ体が動くの、スモークの中なのに後ろ歩きとか、背中にセンサーがついてるの??

本当に最後は嗚咽モードいいますか、もうただただ、彼らが発するエネルギーや言葉にならないメッセージに心打たれてました。
いや、まさにダンス、バレエ、舞台芸術による「言葉」です。
実際限界を超えたであろう者が見せてくれる姿、その身体や舞台から発せられるエネルギーは、どれだけ言語を尽くしても伝えられない説得力がある…。

限界は超えられる。
そもそもこの公演は3.11の大震災で延期となったという経緯があります。
震災を経て上演される作品として、これ以上ふさわしいものはないでしょう。

この作品を踊りきった新国バレエは、さらにどこに行くのでしょう。
古典ももちろん好きですが、今回の「ダイナミック・ダンス!」のような、挑戦的なプログラムはどんどん続けてほしい。
ここで突き抜けた彼らの、新国の歩みを止めてほしくないと、切に願います。
ああ、ビントレーさん、辞めてほしくない…。

コンチェルト・バロッコ、テイク・ファイブはまた次に。