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ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

羽田か成田か:全て後手後手

今回イタリア取材に行く際に例によって京成のライナーを利用したところ、日暮里のライナー発着ホームが驚くほどにきれいになっていました。

あのホームから落ちそうな、サラリーマンもスーツケースもいっしょくたのくそ狭い駅。
「東京の玄関口の一つ」とはこれっぽっちも自覚していないような、エレベーターすら近年ようやく出来たという、利用者を馬鹿にしているとしか思えない、「どうしようもない」の最上級たる駅でしたが、成田スカイライナーの駅を2階に独立させたことで全然窮屈感がなくなりました。
いやぁ、広くていいわぁ。

…が。

遅いんだよ!!

これがどうしたって正直な意見です、長年窮屈な思いを散々してきた利用者から言わせてもらえば。
褒めてなんてやるもんか。

2010年の日暮里/成田を結ぶ新ライナーを見込んでの日暮里駅改装でしょうが、その矢先の前原発言。
<前原国交相>「羽田をハブ空港に」…D滑走路完成を機に

「政権は確かに変わったのだ」と思わせられるニュースです。
前の自民党だったらこんなこと、絶対に言わないでしょう。
成田空港関係者の講演を何度も聞いたことがありますが、とにかく住民の顔色をうかがいながら恐々と運営している…そんな印象を受けたことを思い出します。

今回のこの前原発言で成田側とすればいろいろ反論が出てくるでしょうが、ただ、個人的に言わせてもらえば。
そもそも滑走路を増やせず、拡張もままならないまま、何十年ももたもたしているうちに、「世界から大きく水をあけられてしまった日本の空港」としてしまった責はどこにあるのでしょうか。

私も職業柄、成田に入りたい、という航空会社の話を散々聞いてきました。
結局成田の拡張がままならず、滑走路建設の見通しも立たないまま東京に見切りをつけて韓国の仁川や上海に路線を持って行ったところがいくつもあるという現実を見てきました。

成田の拡張の遅れ・滞りが日本の国際ビジネスや流通に歯止めをかけ、敷いては国際路線の遅れを引き起こしたと言っても過言ではないかとすら思ってしまうのです。
ごたごたぐだぐだしているうちに韓国や上海に後れを取り、結果成田の未来が望めず羽田に。
ちゃんと成田にあの国やこの国の航空会社が入ってきていたら、ひょっとしたら日本の経済、ここまで悪くなっていなかったかもしれない。
日暮里ライナーのために駅をきれいにしても、成田より羽田に重点が置かれるかもしれないという後手後手の連鎖。
「国際情勢」に疎い連中が井の中でもたくさしていたらあっという間に世界はおろか、アジアからも後れを取ったという典型的な例でしょう。

また大阪の橋下知事が「大阪のことは考えていない」と発言していましたが、これは立場上そう言わないといけなかったのか、本気で言っていたのかわかりませんが。

やはり東京の空港国際化を整備しないと、大阪も名古屋も生き残る可能性がない、というのも現実です。
そもそも航空会社が飛行機を飛ばすためには、まず「ビジネスクラスが埋まるかどうか」が問題です。
もちろん、バリ島やハワイなど、国際的なリゾート地ならリゾート路線もありですが、基本はビジネス客でペイできるかどうかです。

そうなるとまず日本に飛ばす路線は大量のビジネス客が望める東京しかあり得ない。
経済が沈下しビジネスクラスの埋まる見込みのない地方都市はどうしても二の次になるのです。
ってか、ほとんどの外国人にとって日本といえば東京・京都。
アジアの福岡はともかく、大阪や名古屋、ましてや静岡はまだほとんど知られていないのも世界の現実です。

ましてや今、世界、ことに経済やビジネスで注目の高まっているアジアはいかに玄関空港と都市部を早くつなぐかに競争が移っています。
タイのスワンプーム空港も12月の王様の誕生日には15~20分で都市部を結ぶエアポートリンクができます。
タイだから…とはいえ、「王様の誕生日にはできる」と発表した以上、きっと完成するでしょう。
香港だって、マレーシアのKLだって20分くらいです。
アジアではありませんがウィーンも約15分で市内に到着する路線ができました。
空港から都心まで3時間近くかかるような成田はもはや空港機能として論外なのです。

その点羽田は品川まで20分。
浜松町までも25分。
わざわざ新路線を引かなくても既存の路線で十分に太刀打ちできるこの利便性はどうしたって強みです。

後手後手とはいえ、まだ完全に手遅れになったわけじゃない。
幸い外客誘致のビジットジャパンもまだ始まったばかりです。
外客数1000万人にも満たない…ということは、今整備すればまだ日本の利便性は世界にアピールするに十分なポイントになるでしょう。

ですから国際空港問題としてまずすべきは東京・羽田の整備。
これに尽きます。
もちろん成田の発着規模、羽田の拡張の限界など諸所の問題はあるでしょうが、これは使い分け。
アジアシャトルや利用頻度の高いビジネス路線、成田が賄えない深夜便は羽田に、その他の便は成田とか。
高い発着料はどうしたって地元の税収のためでしょうから、本気で成田引き留めを考えるのなら、発着料を安くするとか、本気を見せてほしいものです。

正直羽田が空港の中心に戻ることで文句を言う利用者のほうが少数でしょう。
ここんとこは支持あるうちに、テキパキ進めて欲しいもんです。
後手後手になる前に。