arT’vel -Review- : art × Travel/旅×アート レビュー

ライターKababon(旅行、旅行業、舞台芸術);旅と舞台(主にバレエ、音楽)についての覚え書き

コート・ダ・ジュール2010(4):ひょっとしたら昔は武骨だったカンヌ

ニースからカンヌへ日帰りでお出かけ。
でも午前中に2件、夕方に1件の3つのアポイントメントがあったので、その間の市内&島取材という、かなりダメ押しのようなスケジュールでした(^_^;)

で、カンヌ。
言わずと知れた、あの映画祭で有名な、セレブな香りぷんぷん漂うといったイメージがある街です。

カンヌやニース、アンティーブをはじめ、コート・ダ・ジュールと聞くだけでセレブでオシャレな雰囲気を思い浮かべる人がほとんどだと思います。
実際私も行く前は「セレブは肌に合わないだろ」と思っていたのですが。

来てみたらこれが意外と気さくで人も良く、確かにセレブな場所はあれど、どちらかというと庶民的な味わいの方が実は強かったんですよ。
「人がいい」というのは重要で、確かに「コノヤロー」と思う人もいたけれど、やはり地方都市で余裕があるのか、パリのようなつっけんどんなイメージはないのですね。
んでもって、海も山も風景がとてつもなく美しく、かわいらしく、しかも料理人は魚の食い方をよく知っていて、飯がとにかく美味い。
昨今のヘルシー志向も相まって、非常に薄味のいい魚料理がたくさん食べられるわけです。
しかも物価はパリより絶対に安いし。
これ、来ない手はないというか、行かない理由がない。
パリが嫌とか、そんな理由でフランスから遠のいている人は、ぜひニースに行ってください。
パリはパリであって「フランス」とはまた別モノだから。

話が逸れましたが。
でもカンヌはそんなコート・ダ・ジュールの街の中でも、やっぱりセレブ色が強い街ですよ。
5月の映画祭で世界中から数多のセレブが集まるわけだからして、洗練されていくのが自然の成り行きとも言えますか。
加えてリゾート地としてのコート・ダ・ジュールは19世紀末、英国人貴族が「海外旅行」を始めたその黎明期に、避寒地として開発したのがきっかけ。
ヴィクトリア女王や、次いで開発に着手したロシア貴族、ロスチャイルド家などの富豪がこぞってこの地を訪れていたわけです。
まあ、セレブな雰囲気は当然と言えば当然なんですな。

では19世紀末以前はどうだったかというと、実は海に面した地ゆえ、ギリシア・ローマ時代を経てアラビアやフランス、プロヴァンス公、アラゴン王国、サヴォイ公などなど、近隣諸国で取り合いをしていたのがコート・ダ・ジュールでありカンヌです。
特に17世紀のスペイン支配下にあった時代は、対するフランスは太陽王ルイ14世の絶頂期。
対岸のマルグリット島はフランスの領地だったため、ルイ14世は島に砦を築き、カンヌの町に向けて砲台を設置して、臨戦態勢にあったわけですね。

結構至近距離の、そのマルグリット島の砦の中に例の鉄仮面の逸話があるわけですが、それはまた後ほど。

実際カンヌの市内を見てみると、いわゆる旧市街というのがはるか丘の上にあるわけです。

現在のセレブなカンヌはリゾート開発された海岸沿い。
城を敵に攻撃されにくい丘の上に造り、いつでも応戦あるいは攻撃できるようにしていたわけですね。

でも今のカンヌを見ていると、昔のきな臭い話はやはり聞かなきゃわかりません。
まあ横浜が昔は漁村だったというのと同じような感じでしょうか。
とにかく今は映画祭で有名なオシャレな街。

映画に興味がある人はやっぱり訪れると面白いと思います。
ハリウッドのような手形もあるんですが、名前がとにかくフランスというか「カンヌ映画祭」ならではです。
リュック・ベッソンを見つけてちょっと嬉しくなりました(*^_^*)

というわけで、明日の夜便で帰国です。
帰ったら今度は速効カイロプラティックに行きますぜ。
腰も肩も背中も結構来てますわ、やはり(^_^;)